初夏のさわやかな空気に包まれる時期に、東京湾を望むホテル インターコンチネンタル 東京ベイでは特別なアフタヌーンティーが開催されます。

引用元:ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ 公式ホームページ
「リンツチョコレート」とのコラボレーションによるこのイベントでは、みずみずしいフレッシュチェリーと濃厚なリンツチョコレートが織りなす贅沢なスイーツをお楽しみいただけます。
26種類もの豊富なお飲み物とともに、特別に用意されたガトーやセイボリーが、優雅な午後のひとときを彩ります。
乾杯にはロゼスパークリングワインも用意されており、洗練された空間で非日常を味わえるこのイベントは、まさに大人の贅沢そのもの。
料金は1名あたり7700円ということで、上質さが詰まったその価値を堪能できるでしょう。
「んん?アフタヌーンティーで1人7700円するのっ、高いっ!」と思った方、鋭いです!
実は2024年に同様のイベントを開催されたホテルと料金は次の通りでした。
- コンラッド東京 「チェリー&ミルク スイーツビュッフェ」
- 大人:6,500円
- ANAクラウンプラザホテル札幌 「Sky Garden アフタヌーンティー」
- 大人:4,000円(税サ込).
- 神戸ポートピアホテル 「~チェリー&ローズ~ 初夏のアフタヌーンティーセット」
- 大人:5,300円(ティーフリーフロー付き)
これを見て「なぜ今年のインターコンチネンタル東京ベイは、これほど高価なの?」と疑問に思われませんでしたか?
ミシュランガイドなどの評価対象になってないようですが、「インターコンチネンタル東京ベイ」はIHGグループの中でも高級ブランドとして位置づけられているラグジュアリーな体験を提供するホテルとして知られてます。
一方の「コンラッド東京」もヒルトングループの高級ブランドで、モダン且つスタイリッシュなデザインが特徴で東京の一等地に位置するラグジュアリーホテルとして評価されています。
つまり両ホテルは、ほぼ同ランクの位置付けなのです。
しかしながら両者が提供するアフタヌーンティーの価格設定には差がありますが、なぜでしょうか?
恐らく「2025年シーズンのサクランボの希少性」が大きな理由となっていると思われます。
インターコンチネンタル東京ベイの料金設定が高めなのは、リンツチョコレートやスパークリングワインといった素材の品質や非日常の優雅さの提供だけでないと思います。
少し高いと思わせる価格設定ですが、今シーズンのサクランボを愉しむには、妥当なコストだと思います。




どうぞ最後までお付き合い下さいね。
サクランボ生産の背景にある生産者の努力について
このアフタヌーンティーに使われるサクランボには、多くの方のご努力が隠れています。
日本国内のサクランボ生産量の約70%以上を占める山形県は、ここ数年の気候変動によって深刻な課題に直面しています。その影響は、生産量の減少だけでなく、国内市場に出回る希少価値の高さにもつながっています。
特に2024年は受粉時期の異常高温が原因で「佐藤錦」の生産量が激減しました。
この人気品種は繊細な気候条件を必要とするため、気候変動の影響を受けやすく、多くの農家が打撃を受けました。
また同年の梅雨前線による豪雨被害や、2025年に予測されている「10年に一度」の異常高温も、さらに生産者を悩ませています。
佐藤錦の将来を守るために、生産者たちは施設栽培(加温栽培)や耐暑性のある品種「紅秀峰」への切り替えなど、さまざまな対策を講じています。
しかし、これらの試みには、設備費や燃料費といった追加コストが伴い、農家の経済的負担を増大させています。
さらに、北海道への生産拠点移動といった大きな解決策を模索する中でも、新たな土地への適応や収益化までに時間がかかることが課題となっています。
その結果、2025年に市場に出回るサクランボ、特に佐藤錦は希少性がさらに高まり、価格が上昇することが予想されます。
しかし、このような背景を知ることで、私たち消費者は、生産者の努力に思いを馳せ、季節の恵みを大切にする姿勢を持つべきではないでしょうか。
その上でホテル インターコンチネンタル東京ベイのアフタヌーンティーを愉しんで頂くことで生産者を支援頂ける方がいらっしゃれば農業関係者としても有難い限りです。
季節の恵みを味わう価値とは?
アフタヌーンティーのイベントで使用されるサクランボは、おそらく施設栽培を採用している生産者との契約に基づいて供給されているものと思われます。
これにより高品質な国産チェリーを安心して楽しむことができるわけです。
しかし、その背後には多くの努力とコストがかかっています。
昨今の気候変動やインフレの影響により、旬の果物を手に入れるための費用が高騰しているのは事実です。
その一方で、こうした状況を受け入れることで、私たちは生産者の努力を支え、未来へとつながる農業を守る一助となります。
旬の味わいを堪能することが、単なる贅沢ではなく、価値ある選択となるのです。
2025/5/28 【速報】山形県のさくらんぼ作柄調査結果の発表
2025年5月28日(水)に山形県のさくらんぼ作柄調査結果が発表されました。
作柄予想
(1)収穫量の予想
○作柄は、平年より「少ない」。
○予想収穫量は、9,100~10,200トン(前年比106 ~119%、平年比72~80%)。(2)収穫盛期の見込み
○「佐藤錦」:6月17日~23日頃(平年並み)
○「紅秀峰」:6月25日~7月2日頃(平年並み)
🌸 佐藤錦の着果量は平年より少ない見通し
吉村知事によれば、主力品種である「佐藤錦」の着果量は平年より少ない見込みです。
これは、4月下旬の開花期に晴天が少なく、強風の日が多かったため、受粉に必要なハチの活動が鈍ったことが主な要因とされています。
🍒 紅秀峰とやまがた紅王は概ね良好
一方で、「紅秀峰」や「やまがた紅王」といった品種の着果状況は概ね良好と報告されています。これらの品種は、佐藤錦よりも開花時期が遅いため、天候の影響を比較的受けにくかったと考えられます。
2025/6/14 2025年の山形県のさくらんぼ作柄 例年より大幅減
山形県が次の通り2025年のさくらんぼ生育状況を公表しました
- 収穫時期:例年より2日ほど早まる見込み
- 予想収穫量:9,100~1万200トン(昨年より多いが、平年比で7〜8割の水準)
- 調査対象:「佐藤錦」「紅秀峰」など、県内48園地で実施
- 生育促進の理由:6月上旬以降の高温と日照による
- 品種別の収穫最盛期:
- 佐藤錦:6月15日〜21日ごろ
- やまがた紅王:6月20日〜26日ごろ
- 紅秀峰:6月23日〜30日ごろ
- 県の呼びかけ:高温による収穫・出荷ロスを防ぐため、対策の徹底を要請
6月15日頃から高温となる予報が出ており、産地では皆さん心配なことだと思いますが、怪我のないように気を付けて作業頂きたいと思います。
危険な高所作業で収穫頂いた貴重な2025年産のさくらんぼです。どうぞお買い求めください。
まとめ 私たちの選択が未来を創ります
このブログを読んでくださった皆さんが、国産果物の背景にあるストーリーを知ることで、アフタヌーンティーがただの美食イベント以上のものであることに気づいていただければ幸いです。
気候変動や市場の変化と向き合う生産者たちを応援し、彼らが生み出す季節の恵みを大切にすること。
それが私たちにできる最良の支援かもしれません。
ホテル インターコンチネンタル 東京ベイの贅沢なアフタヌーンティーで、その一端を体験してみてはいかがでしょうか?
華やかで心温まるひとときを通じて、サクランボが持つ本当の価値を感じることができるはずです。
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