なぜ金融機関は高齢者を“騙し続けられる”のか──罪悪感なく稼げる“逃げ切り世代”とは?

銀行窓口で背中を向けて座る高齢の顧客と、その後ろでほくそ笑む30代の女性行員。「罪悪感を抱かずにすむ最高の顧客たち」というテキスト入り

「また騙されちゃったのかなぁ?ハハハ」と笑いながら言える──そんな高齢者を、あなたは見たことがありませんか?

見知らぬ訪問販売の業者に庭先で声を掛けられ、ホームセンターで買えば3000円もしない表札を数万円で契約したり、元本保証の保険商品で騙されたと分かりながら、解約手続きをせず「5年待てば元本が戻る」という言葉を信じてそのままにしたり、愚者の税金とも揶揄される宝くじを3万円分購入し、6等(下2桁)の3000円が1枚当たったことを“大きな夢を見られた自分の勝ち”と喜ぶ──。

最初は、そんな高齢者を「気の毒だな」と思っていました。

でも、よく考えてみるまでもなく、彼らは多少の損をしても生活には困らないのです。退職金、年金、持ち家、バブルの恩恵──いわゆる社会の“勝ち逃げ世代”は、多少の損をしても立ち直れる仕組みの中で生きています。太平洋戦争後の混乱期、「俺たちの手で焼け野原となった故郷を立て直そう」と奮闘した苦労話を聞いても、現代の氷河期世代と比べると、その格差に羨ましさを超えた複雑な感情を覚えずにはいられません。

このコラムでは、なぜ高齢者が“損しても平気”なのか、そしてその先にある“学ばない構造”について考察していきます。

目次

気の毒?それとも無敵?──“騙されても平気な逃げ切り世代”の実態

最初は、正直「馬鹿だな、でも騙されて可哀そうに」と思っていました。

金融商品の営業トークに乗せられて、実質ほとんど増えない“元本保証型”の保険に入っていたり、訪問販売で高額な商品を買わされていたり。それでも全く深刻そうな顔はしていない。

「また騙されちゃった」、そんなふうに明るく話す姿を何度か見てると、だんだん違和感が出てきたんです。

なぜこの人たちは、こんなに“損に強い”のだろう?
なぜ、何十万円単位で財産を失っても、怒らず、学ばず、変わらないのか?

あるとき気づいたのです。彼らは「被害者」ではあるけれど、同時に「時代に選ばれた人たち」なのだと。

現役世代が投資や保険で損をすれば、生活が直撃を受けます。奨学金の返済や友人・知人の結婚式の祝儀などなどが重なる時期には、数万円の損失でも、一気に家計が苦しくなり、一人暮らしの人の中には電気代や食費を切り詰めなければならない人も出て来るのではないでしょうか?

NISA口座に加入している20代は月々の投資額が限られる中、リターンは少ないけれども長期的な成長が間違いないとみられる米国株式や全世界株式への投資を行っているのも、限られた金融資源を有効に投資するための努力を惜しんでないからだと思われます。これは一つのミスが人生を左右するための弱者の知恵なのです。

けれど、高齢者──特に年金・退職金・持ち家を持っている“勝ち逃げ世代”にとっては、多少の損失があっても生活が揺らぐことはありません

損をしても、生活が破綻する恐れがない「無敵モード」だからこそ、自分を騙した営業マンへの怒りも出ないし、不注意・軽卒だった己の行動に対する反省もない。

彼ら人生逃げ切り世代は「学ばない」というより、「学ぶ必要がない」立場にいるのだと分かったら、不意に何とかしてあげたいという感情は一気に消え去りました。

なぜ生活に困らないのか──“逃げ切り世代”の恵まれた構造

高齢者が多少の損をしても生活に困らない理由──それは単に性格が楽観的だからでも、老化で判断力が鈍っているからでもありません。彼らは“守られた構造の中で生きている”からこそ、損に強くなれるのです。

その構造の象徴とも言えるのが、次の“三種の神器”です。

● 年金・退職金・持ち家──生活の基盤が揺るがない

まず年金。彼らが現役の頃は年金制度がまだ“設計通りに機能していた時代”であり、払った額以上に受け取っている人も少なくありません。しかも「定年時の退職金」もしっかり支払われていた世代です。

そして持ち家。現在のように住宅ローンの重圧に苦しむことなく、「住宅は買えば資産になるもの」という時代に家を建て、その後の地価上昇や老後の住居費ゼロ生活によって生活の安定が確保されました。

この三つが揃えば、月々の収支に余裕があるのは当然です。多少の損失や無駄遣いがあっても、ライフラインが揺らがない。この“揺るがなさ”こそが、彼らの最大の強みです。


● 「苦労はした」と言うけれど──バブルの恩恵を受けた最後の世代

もちろん、彼らの中にも「楽な人生ではなかった」と語る人はいます。戦後の混乱期を生き抜いた世代であることは間違いありませんし、オイルショックやバブル崩壊の際には、それなりに大変な時期もあったでしょう。

しかしながら、現在の氷河期世代やZ世代と比較すれば、制度的・社会的に“優遇された”立場にいたのは事実です。

バブル期に好景気の波に乗れた企業も多く、給料は年功序列で右肩上がり、終身雇用で長く勤めれば報われる仕組みがありました。株や土地を買っておけば資産は膨らみ、退職金も“勤続年数に比例して自然と増える”ものでした。

それらをすべて手にした上で「いやいや、私らも苦労してきたんだよ」と言われても、若い世代からすれば、それは“守られた範囲での苦労”に映ってしまうのです。

そんな“時代に選ばれた世代”の人たちと、“リスクに備え、損を恐れ、右肩下がりの経済の中を自分の知恵だけを頼りに生き抜くしかない”現役世代とでは、同じ「数十万円騙された」でも、その意味合いやダメージがまったく違います。それこそ「子供のぐるぐるパンチ」と「マイク・タイソンのKOパンチ」くらい違うのです。

逃げ切り世代を、金融機関は決して放っておかない

「騙されたかな?まあいいや」と笑って済ませられるのに、暇を持て余した高齢者が退屈凌ぎにクレームを入れるため銀行の窓口を訪れると、まさに飛んで火に入る夏の虫状態に陥ります。

VIPルームに通され、真摯に対応する姿勢を見せられ、銀行員から「今だけ特別に…」という営業トークが展開された結果、より高額な保険商品に乗り換え契約を結んでしまうということもあるのです。

そんな“美味しい『鴨ネギ』”のような逃げ切り世代を、金融機関が見逃すことはあり得ないですよね。

● 生活に困らない人こそ、最高の“カモ”になる

金融機関にとって、「お金を持ち」「暇を持て余し」「“あなただけ特別”というセールストークに弱い」、そんな顧客ほど“扱いやすい存在”はありません。

こうした高齢者層は、安定した年金収入と十分な貯蓄を持ち、時間にも余裕があるため、窓口に足繁く通ってくれます。家や近所で相手にされる機会が少ない彼らにとって、自分の話に耳を傾けてくれる金融機関の若い職員は、非常にありがたく、可愛らしく映るのです。

その結果、「あなたの実績になるなら」と、商品内容を深く理解しないまま契約することもしばしばです。

つまり、金融機関にとっては「損をしても感謝してくれる理想的な顧客」です。多少の損失を与えても生活に支障が出ない相手であれば、金融機関職員も心苦しさや罪悪感をそれほど感じることなく、利益を追求できるのです。

これが、こうした顧客層の一番の存在価値と言えるのかもしれません。

まとめ

逃げ切り世代を羨んでも、得られるものは何もありません。

現代では、金融リテラシーの低さがそのまま生活不安に直結する時代です。

学びの場として、YouTubeでは多くの無料動画が配信されています。私のブログ記事では、「両学長 リベラルアーツ大学」や「投資うさぎ」の素晴らしいコンテンツを、「副業×投資×保険」というカテゴリーで紹介しています。

学びのステップを踏んだ上で、20代から50代の皆さんが、それぞれの自己責任のもとで決断を下してください。

パンチです

私たちみんながやれることは
節約とインデックス投資です
自分の身は自分で守りたいですね!

ピーチです!

人気YouTuber「投資うさぎ」さんの人気キャラクター
株全力(かぶぜんりき)さんをご存じない方は、
ぜひ一度、動画を見てください!
元気が出てきますよ~♪

よかったらシェアしてください
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


このサイトは reCAPTCHA によって保護されており、Google のプライバシーポリシー および 利用規約 に適用されます。

reCaptcha の認証期間が終了しました。ページを再読み込みしてください。

目次