2024年から2025年にかけて米価が高騰したことで、消費者の間でパンの相対的な「割安感」が広がりました。
米価が上昇する中、ご飯よりもパンがコストパフォーマンスの面で現状、優れて見える、そんな現象が生まれたのです。
この影響でパン屋の倒産件数は2025年1-4月に半分に減少したと東京商工リサーチが報告しています。
しかし、この倒産件数の減少は、多くのパン屋にとって一時的な「延命措置」に過ぎず、今後は楽観できないと私は見ています。
今、消費者がパンを選ぶ理由として挙げられるのは「お得感」ですが、「今後も選ばれるパン屋」と「残念ながら今後、選ばれることがないパン屋」の間で明暗がくっきり分かれることも忘れてはなりません。
この記事では現在、選ばれているパン屋とそうでないパン屋について掘り下げていきたいと思います。
ヴィ・ド・フランスの人気の理由:駅ナカの強みと豊富なメニュー
- ヴィ・ド・フランスは全国230店舗を展開:
- 駅ナカ、駅近の好立地で通勤・通学客の利用が多い。
- 「米高騰」の影響で、消費者は「お腹を満たせるパン」を選ぶ傾向が強まり、ヴィ・ド・フランスに追い風が吹いている。
- 通勤・通学時間帯は特に混雑し、夕方には棚はスッカスカ。
- イートインで「焼きたてパン+コーヒー」を気軽に楽しめる。
- 全国展開による安心感:
- どの店舗でも同じ品質、同じ味を楽しめる。
- 商品バリエーションの豊富さ:
- クロワッサン、デニッシュ、総菜パン、菓子パン、サンドイッチまで。
- 季節限定メニューも定期的に登場。
項目 | ヴィ・ド・フランス | スターバックス |
---|---|---|
メニューの特徴 | 和風テイストや地域食材を活かしたパンやサンドイッチ | ヘルシー志向のサンドイッチや多様なペストリー |
モーニングセット | パン・ドリンク・サイドメニューのセットを提供(通常7:00~11:00) | モーニングセットの提供はなし |
フードの種類 | パン、サンドイッチ、サラダ、オードブルなど | サンドイッチ、ペストリー、スイーツなど |
ヴィ・ド・フランスは、ベーカリーとしての強みを活かし、パンやサンドイッチの種類が豊富で、モーニングセットなどのサービスも充実しています。
ヴィ・ド・フランスでは、和風テイストや地域食材を活かしたパンやサンドイッチが特徴的です。2025年5月の新商品には、四国や瀬戸内地方の特産品を使用した以下のメニューが登場しています。

引用元:ヴィ・ド・フランス公式ホームページ
- たまごとチキンの和風ホットサンド(ゆずみそ仕立て):高知県馬路村産のゆず果汁を使用したゆずみそで味付けしたホットサンドです。
- 豆とおからの和風サンド(香川県産にんにく使用):香川県産にんにくを加えただし醤油で味付けした豆とおからのサラダを挟み、そら豆・トマト・ベーコンをトッピングしたサンドイッチです。
- 釜揚げしらすパン(瀬戸内産しらす使用):もっちりとした生地に瀬戸内産釜揚げしらすとあおさをトッピングしたパンです。
これらの商品は、「単にお腹を満たす」という性質のものではないですね。地域の特産品を取り入れた和風の味わいを絶妙に取り込む、ヴィ・ド・フランスならではのメニューが、文字通りファンを飽きさせないんでしょうね。
- コストパフォーマンス:
- 販売しているパンは種類も多く、高級食パン店に比べて手頃な価格。
- モーニングセットでは「コーヒー+パン+サイドメニュー(ヨーグルト or ゆでたまご)が500円~600円」とお得に朝食を楽しめ、スターバックスやドトールといったカフェと競合しても価格とパンの美味しさで優位性を保ってます。
- イートインスペース:
- 立ち寄りやすく、焼きたてのパンとコーヒーをその場で楽しめる。
- 価格設定もおかわり条件など、スターバックスを意識してサービス向上に努めているのが伺える。
項目 | ヴィ・ド・フランス | スターバックス |
---|---|---|
1杯目のコーヒー価格 | 340円 | 350円 |
2杯目のコーヒー価格 | 100円 | 130〜190円 |
おかわり条件 | レシートとカップ持参 | レシート持参 |
イートインスペースの特徴 | 駅ナカ・駅近、落ち着いた雰囲気 | 多様な立地、カジュアルな雰囲気 |
この価格帯であれば、同じ日のモーニング、ランチ、午後のティータイムをヴィ・ド・フランスで愉しむ方がいるのも頷けますね。
ただ…ユーザーの評価をまとめると、ヴィ・ド・フランスの唯一の弱点は、店舗によりコーヒーの味わいに違いがあるようです。
しかし、あくまでもベーカリーであり、焼き立てのパンで勝負なんですね!
京都で「志津屋(SIZUYA)」が愛される理由
「志津屋(SIZUYA)」は、1948年の創業以来の「カルネ」や「ビーフカツサンド」など定番商品を大切にして、京都の人のソウルフードとなっているそうです。






引用元:志津屋公式ホームページ
また毎月5~7種類の新商品を投入し、地元客や観光客に新鮮な驚きを提供しています。
フランスパンというハード系パンをベースにしながらも、和洋折衷のアレンジ商品も多数展開。これは、伝統を守りつつも常に進化し続ける姿勢を象徴しています。
ふわふわ・もちもち感が重視された昨今の高級食パンブームでも揺らがなかったポリシーが光りますね。
現在のところ、志津屋の店舗は京都府内に限られてますが、京都市内の主要駅や観光地周辺に多く出店しています。
京都駅構内や四条烏丸、祇園など、アクセスしやすい場所に店舗があるため、観光の際には立ち寄りたいお店ですね。
「京都府民の国民食」としてここまで定着した「志津屋(SIZUYA)」は、今後も私たちを温かく迎えてくれることでしょう。
高級食パンブームの終焉とパン屋の淘汰:乃が美、高匠、松月堂製パンの現実
高級食パンブームの勢いも、やはり長くは続かなかったようですね。「特別感」を求めて行列を作っていた消費者も、時間が経つにつれ価格に見合わないと感じ始め、離れていったのが現実です。手土産として賞味期限の短い食パンを選ぶ文化が根付くことはありませんでした。
その代表格である「乃が美」も例外ではなく、一部の店舗が閉店するなど厳しい環境下に置かれています。それでもそのブランド力を活かし、商品ラインナップの多様化や地域密着型の販売戦略などを通じて、事業の再構築を図っているとみられます。
また「高匠」は、関西の店舗を閉鎖し、首都圏のみでの営業に絞る形になりました。
山口県宇部市に本社を構えていた創業91年を誇る老舗「松月堂製パン」も、2025年2月に破産手続きへと進むことになりました。大手メーカーとの競争や原材料の高騰、老朽化した施設が原因で業績が悪化した結果です。2020年に小倉の商業施設へ出店し巻き返しを図ったものの、大きな効果には繋がりませんでした。負債総額は11億6000万円にも上り、約160名の従業員が職を失う厳しい状況となっていますが、一部直営店では販売を継続しているそうです。
時代の変化の中で、パン業界が直面する課題の深刻さが伺えますね。
まとめ:パン屋は選ばれるかどうかが鍵
皆さんがパン屋を選ぶときは何を重視されますか?
私は「お得感」だけじゃなくて、「味」や「接客を含めた品質」、それに「利便性」も重要視してます。
たとえば、ヴィ・ド・フランスのように「日常に溶け込んでいるパン屋さん」はやっぱり強いと思います。駅近で気軽に立ち寄れるって、本当に便利ですし安心感がありますね。
そして、京都の志津屋(SIZUYA)のように「地元にしっかり根付いたパン屋さん」も魅力的なお店ですよね。地元の人に愛されてるっていうのは、大きな財産だと思いし、「京都人の国民食」である「カルネ」は一度食べてみたいです。
一方で、「乃が美」や「高匠」のように一時的な高級生食パンブームを巻き起こした会社も、原材料費の高騰や客離れによって、厳しい状況に立たされています。
それに松月堂製パンのように歴史ある会社でも、その独自性を発揮できなかったパン屋は淘汰されてしまうんです。
米の価格が高騰したことで一時的に延命措置を施されたパン屋も、これからの未来が必ずしも明るいとは限らないですよね。
この現実を見ると、パン屋さんが生き残るためには、「選ばれる理由」をしっかり持つことが求められているんだなって感じます。
皆さんの街で愛されているパン屋さんはどんなお店ですか?
頂戴したコメントは全て返信させて頂いてますので教えて下さいね。




焼き立てのパン屋さん、
いつも有難うございます!




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