最近、日経新聞オンラインでアメリカのフロリダ州のオレンジ危機についての記事を見かけました。
「オレンジジュース用のオレンジが史上最少の収穫量に。アメリカは「輸入拡大」に動いており、日本にも値上げの波が──」
そして「オレンジジュース危機」という耳慣れない言葉がネット上でも散見されていて、商品の大幅な値上げなどを取り上げた特集の記事も出ています。

正直、私には関係ないなと思ったんです。
今ジュース飲んでないんですよ。
ダイエット中ですし、そもそも甘い飲み物は卒業済みですし。
そんな私にも無関係な話──だと思っていました。
でもその裏で、もっと静かに、もっと深刻に消えかけている果物があるのです。
グレープフルーツが「消えかけている」ってご存知でしたか?
オレンジの影に隠れて目立ちませんが、グレープフルーツの生産量はここ20年で壊滅的に減っています。
特にアメリカ・フロリダ州では、
2000年代初頭と比べて、今は30分の1以下。
主な原因は、オレンジと同じく「グリーン病(黄龍病)」という病害。
それに加えて、気候変動によるハリケーン被害、そして若者の“苦味離れ”による需要減少も。
「グレープフルーツって、最近あんまり見かけないな…」
そう思っていた方、それ、気のせいじゃありません。
グレープフルーツは、誰にも惜しまれずに消えていく果物になりかけているのです。
でも、別に困らなくない?
さて。ここでふと思いました。
「でも、グレープフルーツがなくなっても、私は何も困らないな…」
実際そうなんです。
グレープフルーツなんて、ここ数年まったく口にしていない。
朝食に半分にカットしたグレープフルーツを出してくれる家でもないし、ジュースで買うこともない。
調剤薬局で高血圧の薬を貰う時だけ、薬剤師が念仏のように「グレープフルーツジュースは一緒に摂らないで」というあのセリフを聞かなくて済む、「誰が飲むんかい」と心の中で突っ込まなくて済む、平和な世界が来る!
──じゃあ、この話、ここで終わりか?と思いかけたのですが。
1つだけあった、「グレープフルーツがなくなると困ること」
それは、ソルティドッグ。
ウォッカをベースに、グレープフルーツジュースで割り、グラスの縁に塩をつけたあのカクテル。
若い頃に覚えた数少ない「おしゃれなお酒」が、あれでした。
今ではすっかりお酒もやめて、そんな夜のことも忘れていたんですが…
「ソルティドッグって、あれ、グレープフルーツだった!」
そう思い出した瞬間、ちょっとだけ寂しくなりました。
あの絶妙な苦味と酸味のバランス。
レモンでもオレンジでも代わりにはならない、グレープフルーツだけが持っている味わい。
「今は飲まないけど、いつかまた飲みたいかもしれない──」
そう思った瞬間だけ、私の人生にもグレープフルーツは必要だと気づいたのです。
でも大丈夫──シークヮーサーがあるかもしれない
そんなとき、ふとひらめきました。
「もしかして、シークヮーサーで代用できるんじゃない?」
沖縄産の小さな柑橘。
グレープフルーツより酸味が強く、香りも豊かで、ほんのり苦味もある。
しかも、亜熱帯性で気候変動にも強い。
シークヮーサーはむしろ温暖化時代に“勝ち残る柑橘”として注目されています。
確かにそのままではソルティドッグにするには酸っぱすぎるかもしれません。
でも、うまく配合すれば──たとえばハチミツ少々+炭酸で割るような工夫があれば──
「シークヮーサー・ソルティドッグ」だってアリなんじゃないか。
その日のため、縁があって南国に住むことになったら、シークヮーサーの苗木を庭に植えることにします。
グレープフルーツは、なくても困らない。けれど──
グレープフルーツがこのまま静かに姿を消しても、
多くの皆さんの人生、間違いなく私の人生は、大きくは変わらないでしょう。
そして、あの一杯の味わいを再現できる手段が、シークヮーサーに残されている──
それだけで、なんだか未来が少し明るく思えたのです。
🟨おまけ:ギムレットも“絶滅危惧種”──なぜなら、メキシコが…
グレープフルーツの話で終わるつもりだったのですが、ついでにもう一つ、静かに消えかけているカクテルに触れておきたいと思います。
それが──ギムレット(Gimlet)です。
あのジンとライムで作る、香り高く、キリッとしたショートカクテル。
…ですが。
その“ライム”が、グレープフルーツ以上に、危ないのです。
メキシコ産ライムの現実
世界のライムの大半はメキシコから供給されています。
しかしそのメキシコが、今かなり大変な状態のようです。
- 麻薬カルテルがライム農家を支配
- 収穫が妨害され、市場にライムが出回らない
- アメリカでは「ライムショック」と呼ばれる価格高騰がたびたび発生
しかも、ライムの樹は病気に弱く、気候変動にも敏感。
干ばつや台風で落果しやすく、病害が広がると、丸ごと壊滅することもある。
🍸 ギムレットの未来は不安定
ライムの代わりにレモンで代用することも可能ですが、それはもう“あのギムレット”ではありません。
レモンでは、ライム特有の苦味・香り・えぐみが再現できないからです。
グレープフルーツだけじゃなかった。
ギムレットの未来もまた、“柑橘の地政学”に揺れているのです。
✅ 今できること
- ギムレットが好きな人は、ライムの産地にちょっとだけ関心を持ってみる
- もしくは、シークヮーサー・ギムレットを試してみるのも一興
結論:案外、沖縄の柑橘が、カクテルの未来を救うかもしれません!
🟨よくある質問(FAQ)
Q1. フロリダオレンジ、グレープフルーツ、ライム以外に、絶滅危惧に瀕している果物は何がありますか?
A.
現在、気候変動や病害の影響で絶滅のリスクが懸念されている果物としては、以下のようなものが挙げられます:
- カカオ(チョコレートの原料):気温上昇と干ばつでアフリカ西部の主要産地が縮小
- バナナ(キャベンディッシュ種):パナマ病(TR4)という土壌感染病が世界中に拡大中
- アボカド:水資源を大量に消費するため、干ばつ地域では栽培が困難に
- コーヒー豆(アラビカ種):温暖化で標高の高い冷涼地に追いやられ、生産地が限定化
いずれもスーパーでおなじみの果物や嗜好品ですが、今後の数十年で「高級品」になってしまう可能性もあると言われています。
Q2. その果物がなくなることで、困ってしまう食べ物や飲み物はなんですか?
A.
果物の絶滅は、単に「食べられない」だけでなく、食文化そのものに影響を与えることがあります。
- カカオが消えると…
→ チョコレート、ココア、ガトーショコラ、モカラテが消滅/高級菓子化 - バナナが消えると…
→ バナナジュース、バナナブレッド、離乳食や高齢者食への影響も大 - アボカドが消えると…
→ サラダやグアカモーレが作れない/ヴィーガン食材としての代替困難 - コーヒーが消えると…
→ 朝のルーティンが崩壊する人続出☕ カフェ文化も激変
特にジュース・カクテル・スイーツの分野では代替が難しいものが多く、静かに“味の絶滅”が進行しているとも言えます。




いつの間にかグレープフルーツジュースも
高級品になって、売ってなかったり
してたんですね!




シークヮーサーが世界のカクテルを牛耳るかもです!
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