日本の美しい田園風景の一部であった牧場が、
今、急速に姿を消しつつあることをご存知でしょうか?
今回は、NHKが報じた群馬県の酪農業界の現状を、
深く掘り下げてみたいと思います。

最後までご覧くださいね!
10年で半減した群馬の酪農家:その数字が語る絶望
NHKの報道によると、全国有数の牛乳生産量を誇る群馬県において、
酪農家の数が驚くべきスピードで減少しています。
わずか2015年には550軒あった酪農家が、
2025年4月時点では280軒と、10年間でほぼ半減してるのです。
この数字は、単なる統計データ以上の重みを持っています。
廃業の主な要因は、牛の餌代や光熱費の記録的な高騰。
ウクライナ情勢や円安の影響は、飼料の多くを輸入に頼る日本の酪農に、想像を絶する打撃を与えています。
みどり市の酪農家、松井茂登司さんの
「世界的な情勢も絡み、酪農家の努力だけでは乗り切れない状況になっている」
という悲痛な叫びは、多くの酪農家の本音を代弁しているに違いありません。
酪農関連企業も連鎖する苦境:見えない廃業と業態変更の波
酪農家の減少は、決して彼らだけの問題ではありません。
酪農業は、多くの関連産業と密接に結びついています。
酪農家が半減するという事態は、その周辺でビジネスをしていた企業にも
甚大な影響を及ぼしていることは想像に難くありません。
- 飼料メーカー・販売店: 牛の数が減れば、当然飼料の需要も激減します。地域に密着した小規模な飼料販売店の中には、既に廃業したり、農業機械の販売や別の農作物支援などへ事業を転換したりしたところも少なくないでしょう。
- 酪農機械メーカー・販売店・修理業者: 新規の設備投資が控えられ、既存機械の修理需要も減少すれば、経営は立ち行かなくなります。専門性の高い技術を持つ修理業者なども、仕事が減り、他の業種への転換を余儀なくされているかもしれません。
- 家畜獣医: 大動物専門の獣医師は、酪農家がいなくなれば活動の場が失われます。後継者不足と相まって、地域から獣医がいなくなるという事態も懸念されます。
- 牛乳運送業: 生乳の集荷量が減れば、運送ルートの見直しや車両の削減、あるいは他の物流へと事業転換を図っていることでしょう。
これら関連企業の多くは、表立ってニュースになることは少ないかもしれませんが、
地域経済の基盤を支えてきた重要な存在です。
酪農業の衰退は、まさに地域社会全体の活力を奪っていく連鎖反応を引き起こしているのです。
酪農をサポートするメンバーがいなくなったら
もう二度と酪農は復活できないのです。
消費者と加工業者の「生乳離れ」:多角化する飲料市場の波紋
さらに追い打ちをかけるのが、消費者や乳製品加工業者における「生乳離れ」の動きです。
農林水産省のデータを見ると、全国の生乳生産量は1996年をピークに漸減傾向にあります。
それに伴い、飲用牛乳の消費量も近年はわずかながら減少傾向にあるとされています。
この背景には、高齢化に伴う一人当たりの食品消費量の低下や、乳製品アレルギーに対する意識の高まりが影響していると指摘されています。
特に、日常的にスーパーの冷蔵棚に並ぶチルド牛乳(冷蔵牛乳)の需要が減少している可能性が示唆されています。
加工業者側も、生乳の供給不安定や価格高騰を受け、安定した原料確保のために海外からの輸入乳製品の活用を増やしたり、「植物性原料」を使用した代替品開発に力を入れたりしています。
これは、酪農家が生産する「新鮮な生乳」の需要を相対的に減少させることに繋がるでしょう。
スターバックスの植物性ミルクの普及は顕著です。
健康志向の高い方やヴィーガンの方を中心に、
ラテやフラペチーノなどのドリンクを注文する際に、
豆乳やアーモンドミルク、オーツミルクへの変更されるケースが増えていて、
これらのカスタマイズは今や人気オプションとして定着しています。
「八方ふさがり」の日本の酪農業を救うために
物価高騰の中、生乳の取引価格がわずか4円/kg引き上げられたとしても、
高騰する餌代や光熱費を補うには到底足りないのが現状です。
しかも、「価格を上げすぎると消費が落ち込む」というジレンマに陥っており、
酪農家はまさに「八方ふさがり」の状況にあります。
この状況は、もはや酪農家個人の努力や、
業界団体だけの取り組みで解決できるレベルを超えています。
日本の酪農業は、まさに「瀬戸際」に立たされてます。
現状のままでは「確実に終了」です。
食卓に「新鮮な牛乳」が失われる日が来ないことを願うならば、
日本の酪農業の危機に目を向け、
私たち一人一人が買い支えていく必要があると考えます。




皆さんのお考えをお聞かせください!




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