創業105年 株式会社お茶の玉宗園(ぎょくそうえん)倒産-お茶業界の老舗に、何が起きているのか?

創業105年 お茶の玉宗園が倒産

「お茶を淹れること。ほっとすること。」

私たちは、「親友と接するように気兼ねない、リラックスできるお茶のひとときをお届けする」ことを目指して、シーンや飲み方に応じたさまざまなお茶をご提供しています。
玉宗園との出会いが、あなたのほっとしたやすらぎの時間につながりますように。

お茶の玉宗園HPより引用

私たちの日常に寄り添ってくれる、すごく素敵なメッセージですね。

ただ残念ながらこのメッセージを発した会社は、もうありません。

大正8年の創業以来、105年の歴史を誇り、“真心の伝わる茶づくり”をモットーにしていた「お茶の玉宗園」が

2024年10月7日に事業を停止し、自己破産の手続きに入りました。

突然の臨時休業を経て、京都・大坂・神戸の直営店14店舗全てが閉店したのです。

負債総額は約4億円にのぼります。

京都府京田辺市に本社を構え、事業は百貨店や大型スーパーでの販売、卸売業務、インターネット販売などを展開して、玉露、煎茶、玄米茶、ほうじ茶などを取り扱っておりました。

贈答品需要の減少や、最近の物価上昇により経営が厳しくなり、最終的には破産の道を選びました。

すごく残念なお話です。

そこで一つ提案です。

みなさんの生活習慣に急須で淹れる一杯のお茶を取り戻してみませんか?

一日の始まりや終わりに、家族や自分だけの特別な時間を楽しむために。


この記事でわかること
  • 105年続いた老舗「お茶の玉宗園」が自己破産──突然の閉店劇の全貌
  • お茶業界の老舗企業に今、何が起きているのか
  • 「お茶を淹れる時間」を取り戻そう──消費者ができる小さな一歩
目次

お茶の玉宗園 会社概要

  • 創業年: 1919年(大正8年)
  • 業暦: 105年
  • 設立年月日: 1986年10月
  • 所在地: 京都府京田辺市草内宮ノ後29
  • 従業員数: 非公表
  • 事業内容: 玉露や煎茶などの宇治茶の製造と販売を行い、直営店およびWebでの販売も手掛けていました

株式会社お茶の玉宗園の店舗展開

株式会社お茶の玉宗園は、京都、大阪、兵庫県のショッピングモールに複数の店舗を展開していました。

現在では全て閉店されていますが、破産時点の店舗リストは以下の通りです。

京都府(全8店舗)

  • 京都府京田辺市の本店
  • アルプラザ京田辺店
  • アルプラザ城陽店
  • アルプラザ木津店
  • フレンドマート宇治店
  • イズミヤ高野店
  • イズミヤ白梅町店
  • イオン京都洛南店

大阪府(全5店舗)

  • アルプラザ香里園店
  • アルプラザ茨木店
  • イオン和泉府中店
  • イオンモール日根野店
  • イオン藤井寺店

兵庫県(全1店舗)

  • つかしん店

これらの店舗は、関西地域のショッピングモールに位置しており、多くの人々に親しまれていました。

詰め放題イベントや、抹茶ソフトやアイスグリーンティーなど、

この夏にお店を訪れたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

突然臨時休業してると思ったら、自己破産のニュースが飛び込んで来て、驚かれた方も多かったことでしょう。

これは私たち消費者だけではなく、お店で働いていた皆さんも同じだったと思うと胸が痛みます。

先日のフナイ電器倒産でもそうでしたが、会社の自己破産にあたっては社員の方に事前告知しないのが通例です。

理由としては社員個人が商品や代金の持ち逃げなどをしてしまう恐れがあり、

会社の資産管理・確保が困難となる事態を未然に防ぐため仕方ないことなのです。

大変残念ではありますが、いくらお金を出しても、これらの商品を手に取ること、もうできないのです。

お茶の玉宗園 自己破産に至るまでの兆候

株式会社お茶の玉宗園の自己破産に至るまでには、いくつかの兆候が見られました。

  • 売上の減少: 2000年代以降、贈答品の需要が減少し、リーマンショックや消費税増税の影響で売上が減少していました。
  • 資金繰りの悪化: 最近の物価高騰や消費不況により、さらに売上が落ち込み、資金繰りが厳しくなっていました。
  • 新型コロナウイルスの影響: コロナ禍で売上がさらに減少し、経営が困難になっていました。

これらの要因が重なり、最終的に自己破産の決断に至ったと考えられます。

先日、今村芳翠園の倒産のニュースもありましたが、お茶業界を取り巻く環境は厳しさを増しています。

追記 2024年10月26日 老舗企業の倒産が続く、その理由とは?

企業の業績評価で信頼と実績のある帝国データバンクより

「日本の老舗企業」に関する興味深い分析結果が公表されました。

全国「老舗企業」分析調査(2024年)|株式会社 帝国データバンク[TDB]

日本の老舗企業:世界に誇る伝統と現代の課題

世界で業歴100年を超える企業のうち、半数以上が日本に存在するという調査結果があります。

国内には約4万5000社の「ニッポンの老舗」があり、これらは日本の魅力として語られることが多いです。

特に、清酒製造や呉服関連など、日本の伝統文化を彩る産業が多くの老舗企業として今なお事業を継続しています。

老舗企業の財務指標分析では、長年にわたって蓄積された資産による財務の収益性・安定性が強みとして確認されています。

しかし、2024年9月時点で老舗企業の倒産は110件に達し、過去10年間で最も多かった2019年と並ぶ高水準で推移しています。

倒産の要因としては、相次ぐ値上げの波に追いつけなかった物価高倒産(22件)、後継者不在による倒産(16件)、金融機関から返済条件の変更(リスケジュール)を受けながらも経営改善が図れなかった返済猶予後倒産(16件)などが挙げられます。

さらに、円安、コンプライアンス違反、公租公課滞納などを要因とする倒産も複数確認されています。

こうした状況を踏まえて、金融機関からは「老舗だから大丈夫だろうというイメージに捉われることなく、これまで以上に本業の事業性評価を細かくチェックする必要がある」といった声も聞かれ、今後は老舗企業に対して厳しい見方が強まるとみられる。

引用元:帝国データバンク「全国「老舗企業」分析調査(2024年)」

老舗茶舗である今村芳翠園やお茶の玉宗園の相次ぐ自己破産により、

間違いなく「京都」の「お茶業界各社」に対する金融機関のチェック・監視の目は厳しくなりそうです。

しかし私たち一般人からはどの企業が健全経営をしているどうかを簡単に判断することは出来ません。

そうであれば、現代の私たちに寄り添おうと新しいメニューや店舗を出したり、

お茶の裾野を広げるための努力を惜しまない「入りやすい・行ってみたくなるお店」に行ってみませんか?

追記 2024年11月13日 自己破産から約1ヶ月です

「今村芳翠園本舗」に続いて「お茶の玉宗園」が自己破産するというニュースから約1ヶ月が経ちました。

私の記事だけでも、国内外から既に延べ「1万人」を超える方々にご覧頂いてます。

それだけ歴史ある老舗の相次ぐ閉店が衝撃だったのだと思われます。

私の呼びかけに応じて頂き、この記事をSNSで拡散頂いたり、お知り合いにご紹介頂く方もいらっしゃいました。

きっとこの記事をご覧頂いている方の中には、自己破産した2社の関係者の方もいらっしゃることだと思います。

閉店セールもなくお別れされたことで、お勤めだった方は残念な気持ちでいっぱいだと思いますが、

皆さんのお店は、多くのお客様から間違いなく愛されていたと思いますよ。

テーブルの上に置かれた緑茶が注がれた茶碗と急須の写真

追記 2025年5月16日 自己破産から半年以上たちました

お茶の玉宗園が2024年10月の倒産から半年以上が過ぎましたが、

「玉宗園 閉店」を検索される方が後を絶たず、私の記事へのアクセスが今でも続いています。

恐らく地元の方や常連だった方、従業員だった方たちが、

「もしかして復活してないかな?」という思いで調べていらっしゃったり、

他の老舗茶舗の閉店のニュースを見られたキッカケで

玉宗園を思い出されたりしているのかなと思います。

お茶業界の厳しい状況は変わらない中、今村芳翠園や玉宗園の倒産後に、

お茶の老舗企業では、伝統を未来へ繋ぐために積極的に取り組んでいらっしゃいます。

福寿園は2025年3月に「お茶のテーマパーク 福寿園 山城館」をオープンし、

JR西日本とタッグを組んで「走る茶室」で山城館を訪ねるツアーを2026年6月に企画されます。

また祇園辻利はミスタードーナツと、そして森半はローソンと手を組み、お茶を愛でる裾野を広げる活動を続けています。

将来のお茶業界のために頑張っているお店を応援する意味でも、お買い物するだけではなく、

SNSで美味しかったものは「あの茶舗のお菓子、美味しかった!」と情報発信されると、

関係者の皆さんへのエールにもなるのではないでしょうか?

「#日本茶」「#急須生活」などのハッシュタグを添えて投稿すると茶業界の方に届きやすいと思います。

応援の一歩、踏み出してみてはいかがでしょうか?

まとめ:老舗茶舗の相次ぐ倒産への思い

2024年10月、「今村芳翠園本舗」に続いて「お茶の玉宗園」と、

宇治茶に関わる老舗企業が立て続けに自己破産したニュースを耳にすると、

現在の市場環境の変化に老舗ブランドを維持しつつ対応していく難しさを痛感させられます。

日本茶を取り扱う専門店の倒産は今に始まったことではなく、

コロナ禍が始まる前の2019年には既に12軒に上りました。

そして2025年に入っても茨城県の「茶の木村園」、埼玉県の「茶の一茶」が相次いで倒産しました。

市場環境や生活様式の変化などにより、一般の家庭で飲まれるお茶はペットボトルやティーバッグが主体となり、

ここ数年で購入先もお茶の専門店からスーパーや通信販売へと移り変わって来ています。

一昔前には日常的だった、お茶屋さんでの量り売り。

ほのかな緑茶の爽やかな香りに癒されたり、

夏の暑いときには抹茶ソフトやグリーンティーで涼を取ったり

何だかそれだけで優しい気持ちになれる不思議な瞬間

そんな体験をしたことがない方がほとんどなのではないでしょうか。

何とか豊かな日本経済を取り戻して日本の食文化を守りたいところですが、

それを待っていては嗜好品であるお茶は、私たちの代で一気に衰退してしまいそうな気がしてます。

近い将来、安かろう悪かろうの輸入品しか手に入らないという未来は避けたくはないですか?

この産業を再び活気あるものにするには私たち消費者一人一人の支援が必要です。

そこで一つ提案です。

みなさんの生活習慣に急須で淹れる一杯のお茶を飲む習慣を取り戻してみませんか?

茶文化の未来へ向けて懸命に奮闘している老舗茶舗の取り組みをこちらにまとめております。

お茶を頂く優雅なひとときについてSNSで呟いたり、買った通販サイトのレビュー欄にコメントしてみる。

もしくは夏の暑い盛りに、コンビニや自販機などではなく、

お茶屋さんで売っている「アイス・グリーンティー」「抹茶ソフトクリーム」を買ってみる。

そんな一歩が、もしかすると誰かを元気づけられるかも知れません。

この投稿が皆さんにとって、何かのきっかけになると有難いです。

最近になって私、お茶の魅力に気が付き、茶道に触れてみたいと考えてます。

お薦めの書籍について紹介しておりますので、宜しかったらご覧ください。

またお茶を海外向け市場へ広めるために奮闘した企業の取り組みをまとめた記事も、併せてご覧ください。

🔎 なぜこの記事を書くのか?

👉 筆者の想いはこちらから
パンチです

最後までご覧頂き有難うございました

“When a tea shop closes, it leaves behind more than silence — it leaves a lesson.”

(お茶屋が閉じるとき、残るのは静けさだけではなく、教訓です。)

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