453億円の巨額負債 イセ食品の再建はなぜ成功したのか?

イセ食品の再建はなぜ成功したのか?SMBCが見せた本気の支援とその裏側
この記事でわかること
  • イセ食品はなぜ破綻し、どう再建したのか──“たまご&カンパニー”誕生までの経緯と背景
  • なぜ金融機関は本気で支援に動いたのか──卵業界・流通への影響と社会的意義
  • “誇れる仕事”をした金融マンたち──理想と現実に揺れる金融業界へのメッセージ

「イセ食品は倒産後、どう再建したのか?」「スポンサー企業はどこだったのか?」「なぜSMBCをはじめとする金融機関がこれほど本気で動いたのか?」——この記事では、2022年に会社更生法の適用を申請し破綻したイセ食品が、わずか2年で再建に至った背景を、多くの元銀行員と交流してきた筆者の視点から掘り下げます。

金融の現場で理想と現実とのギャップに揺れる若い方々へのメッセージとしても、ぜひ読んでいただきたい内容です。

かつて卵業界の最大手として君臨したイセ食品が経営破綻したのは2022年3月。

会社更生法の適用を申請し、負債総額は約453億円(イセ食品:約278億円、関連会社イセ:約175億円)にのぼりました。

多くの人が「終わった企業」と思ったかもしれません。しかしその2年後、破綻企業としては異例のスピードと規模で再建を果たしたのです。

なぜイセ食品は再び立ち上がることができたのか?そこにはメガバンク・三井住友銀行(SMBC)を中心とした金融機関による、本気の支援がありました。

この記事では、単なる再建の事実だけでなく、「その支援に込められた意味」と「金融機関のあるべき姿」について、筆者の視点から深掘りします。

パンチです

どうぞ最後までご覧ください


目次

イセ食品が倒産した理由とその影響

イセ食品は、鶏卵の生産から流通までを一貫して手がける日本最大級の卵企業でした。

しかし、2017年以降の積極的な海外展開や設備投資により、負債が膨張。

さらに新型コロナウイルスの影響で業績が急速に悪化し、2022年3月、会社更生法の適用を申請しました。

食品業界や流通業界には大きな衝撃が走り、「卵がスーパーから消えるのでは」という声も上がるほどで、実際に多くの小売・外食チェーンが取引先を切り替えざるを得ない状況となりました。

このときの詳細は以下の報道などに詳しく取り上げられていますのでご参照ください



異例の再建スキームと金融機関の動き

通常、破綻した企業が再び事業の中心に返り咲くのは容易ではありません。

しかしイセ食品は、三井住友銀行の主導により、異例の形で再建の道を歩みました。

スポンサー企業として選ばれたのは、SMBC系のファンドや、飼料・物流・畜産業界の有力企業たち。

金融と実業がタッグを組んだ体制で、わずか2年で再建を果たします。

これは単なる「資金注入」ではありません。

業界のインフラとして機能していたイセ食品を守ることが、流通網・価格安定・雇用維持の面から見て、日本経済にとって重要だという判断がなされたのです。



たまご&カンパニー株式会社、たまご&ファーマーズ株式会社の船出

会社更生法に基づく更生会社となった「たまご&カンパニー株式会社」と「たまご&ファーマーズ株式会社」は、2025年3月3日、東京地方裁判所から更生手続終結の決定を受け、新役員体制で新たなスタートを切ることになりました。

これに先立ち2024年に「たまご&カンパニー株式会社」は1990年販売開始した同社の主力商品の「森のたまご」をリニューアルして、全国販売を再開しました。

読者の皆さんもお近くのスーパーで、この「選ばれてNo.1」「コクとうまみ」のパッケージ、見掛けたことがあるのではないでしょうか?

この両社の船出、そして主力商品の販売再開にあたって苦難を乗り越えられた関係者の皆さんは、色んな思いが交錯されたことだと思います。

どうも有難うございました。

この案件に私が感じた強い想い

私はこれまで多くの「元銀行員」の知人と話をしてきました。

彼らの多くは「企業と企業をつなげ、日本経済を支える」という志を持って金融の世界に飛び込んでいます。

しかし現実は、バブル崩壊以降の低金利時代に突入し、手数料収入を稼ぐために、高齢者向けに保険商品を販売するノルマが課せられる日々。

彼らが本当にやりたかった仕事は、そんな小銭稼ぎではなく、日本の流通や産業、そして人々の暮らしを守ることだったはずです——イセ食品の再建という“社会的意義の大きい仕事”に巡り合えた方々のご苦労は凄まじいものだったと思いますが、何事にも代えられない達成感、そして社会正義を全う出来たことはご自身のバンカーとしての人生の勲章となったことでしょう。

多くの元銀行員たちと交流してきた立場から見ても、この案件には銀行が本来果たすべき役割がぎゅっと詰まっていると感じました。

だからこそ今、現役の金融マンの皆さんには伝えたいのです。「皆さん方が思い描いていた理想の仕事は、まだどこかに残っているはずです」。



金融機関へのイメージは変えられるか?

「銀行は高齢者をだまして保険を売っている」「ノルマ至上主義で信頼を失っている」「取引先を潰した地方銀行ベスト10」——低金利で利ザヤ商売が出来なくなった地方銀行については、そんな残念なニュースがネットでは繰り返し報道されています。

ダイヤモンドオンラインの記事「融資先企業を倒産させた金融機関ランキング【第一地銀】5位福岡銀行、3位千葉銀行、1位は?」の表紙

引用元:ダイヤモンドオンライン

そのなかで、SMBCほか関係金融機関が示したこの再建の姿勢は、まさに逆のベクトルでした。

もちろん、業界全体が変わるにはまだ時間がかかるでしょう。

それでも、今回のような案件を通じて「金融が人と企業を支える」という本来の役割を思い出してほしいのです。

そんな願いを込めて、2年以上前のこの案件を今、取り上げました。



まとめ|再建成功の裏にあった“誇れる仕事”

イセ食品の再建劇は、卵業界にとっての安心だけでなく、金融業界にとっての希望でもありました。

現在では、グループ再編と社名変更を経て「たまご&カンパニー株式会」として事業を継続しています。

SMBCが示した姿勢は、単なるスポンサー支援ではなく、「本気で経済を守る」という意志の表れです。

このような事例をもっと社会が知り、金融機関が本来の使命を果たしていることを実感してもらえるような情報発信が必要です。

そして、今の仕事に疑問を抱えている人たちにも、一歩踏みとどまって考えてほしいのです。

金融の世界には、まだ誇れる仕事が残っている——そう信じられるきっかけになれば幸いです。

🔍 なぜこの記事を書くのか?

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