「国産茶筅が姿を消す理由」──消費者としての選択とその背景

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抹茶ブームとインバウンド人気の高まり

近年、世界中で「Matcha(抹茶)」ブームが広がっています。
抹茶ラテや抹茶スイーツは海外でも人気メニューとなり、茶道に興味を持つ外国人観光客も増加してお土産として抹茶を購入する人が後を絶たず、高級なものほど品薄となり販売制限を始める店舗が出てきました。

その余波は茶道具にも広がり、2024年夏頃には楽天市場「茶舗森半」の通販サイトでも買えた茶筅が現在では画面表示されなくなり、長い間、品切れとなっている様子です。

国産の茶筅を楽天市場で探したところ、「奈良 高山茶筅120本立」は品切れ状態ですね。

ようやく見つけたものは茶碗や振出、棗なども含めた「茶箱セット商品」でした。既に手元に一通り茶道具が揃っている人には不要でしょうが、外国人の知人・友人へのプレゼントとして国産品の茶道具をとお考えの方にとっては比較的手ごろな金額で悪くない買い物だと思います。


自分の稽古用と割り切って、消耗品でいつかは壊れる竹製品だから100本立であれば「中国製の茶筅でも良いや!」と買い求めたところ、私が使用した限りにおいては今のところ問題ありませんでした。楽天レビューで他の購入者のコメントを見る限り、100件以上の回答の中で☆2つ以下の厳しめのレビューは一つも見つからず、皆さん納得のご様子ですね。


🔸なぜ国産茶筅はここまで入手困難になったのか?

以下の3つが、今の「国産茶筅品薄」の原因と考えられます:

✅ 1. 世界的な抹茶ブームで需要が急増

とくに外国人観光客がお土産として茶筅を購入するケースが増え、国内での入手競争が激化しています。

極端な話、茶筅さえあれば、抹茶は世界中どこでも手に入る時代ですし、あとはマグカップにティーカップスプーン、そしてお湯があれば世界中のどこでもお作法に捉われることなくお茶は頂けるのですから、茶筅人気が高まるのは必然です。

高級品の「高山茶筅」と言っても10,000円程度で買えるのですから、お茶に関心がある母国の友人や家族にもお土産として買ってあげたくなる気持ちは理解できます。

✅ 2. 良質な竹の供給が減少

茶筅に使えるのは、まっすぐで節の整った希少な若竹。しかも冬場に伐採し、数年乾燥・熟成させる必要があり、代替がきかない素材なのです。

農業でも竹を支柱として使うケースがあるのですが、雨風に打たれる環境下でも、冬場に確保してシッカリと乾燥させたものは2年、3年と長く使えるのです。当然、茶筅加工の前段階でもその工程は必須であり、永く使える良いものほど完成までに時間が掛かるということです。

✅ 3. 職人不足と高齢化

現在、伝統的な茶筅づくりの中心地・奈良県高山地区でも、職人の高齢化と後継者不足が深刻。そもそも生産数自体が少なく、供給が需要にまったく追いついていません。

500年の歴史を誇り、国内生産の約90%が高山で行われていますが、茶筅づくりの技術は非常に繊細で、機械化が難しく職人の手仕事に頼らざるを得ないそうです。

美しい茶道具の伝統維持に世界の抹茶ブームは間違いなく追い風なのでしょうが、少子化も相まって後継者不足には苦労しているようです。

🔸おわりに:国産茶筅が“憧れ”になる時代

本来なら、日本人である私たちこそが国産茶筅を使いたいものですが、
「買いたくても買えない」現実に直面して、“高嶺の花”になりつつある工芸品だと実感しました。

今後、職人技の継承や材料確保の取り組みが進まなければ、
国産茶筅は今後ますます「特別な道具」になっていくかもしれません。

現時点で公的機関が茶筅職人の後継者育成をサポートする仕組みは見つからず、自治体としても業界としても後手を踏んでいる印象は否めません。

一方で、高山茶筌匠”翠華園 (SUIKAEN)という民間団体が茶筅製造の見学・体験を通じて生産者・消費者双方の裾野を広げようとされていること、これが茶筅文化承継に向けた僅かな光明という印象です。

👉茶筌|翠華園谷村弥三郎|奈良県生駒市

ここまでの情報を整理する限り、材料の竹においても、職人の確保についても、国産の茶筅供給が改善する見込みはなく、中国をはじめとした廉価版の商品が市場を席巻することとなりそうです。

もし皆さんも「いい茶筅が欲しいな」と思っているなら、
今のうちに予約・購入しておくことをおすすめします。

パンチです

伝統ある国産の茶筅技術承継に向けて、
国や自治体の本気が見たいですね!

ピーチです!

海外製の茶筅、私も含めて
ユーザーの評価が意外と悪くなかったです!
一度は試す価値、あると思いますよ。

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