スターバックスの「抹茶フラペチーノ」が牽引役に？抹茶グローバル化の未来

今、日本で―そして世界で、一番抹茶を売っているのは、老舗の茶舗でも、製茶メーカーでもなく、スターバックスです。

皆さんご存知でしたか？

抹茶フラペチーノを筆頭に、抹茶メニューは世界各国のスタバで定番商品として根付き、もはや“抹茶＝スタバ”と認識される地域すらあるそうです。

和三蜜 抹茶 フラペチーノ®　引用元：スターバックス公式ホームページ

しかし、この世界的ヒットの裏には、供給体制の限界という静かな課題が横たわっています。

日本国内の抹茶原料である「碾茶（てんちゃ）」は、いま生産が追いつかず、価格高騰や品質維持の問題に直面中です。

この構造的な問題を前に、スターバックスがいよいよ“抹茶の現地生産”に踏み出すのではないか――そんな予兆が、業界内でささやかれ始めました。

世界のカフェ文化を牽引してきたブランドが、日本の茶文化の継承者にもなりうるのか。

今回は、そんな未来を見据えながら、「スタバ×抹茶」の意外な関係と、その先にあるグローバルな茶業再編の可能性を探ります。

---

世界が欲している「本物の抹茶」

世界の抹茶市場は2030年に1兆円を超えると予測されており、各国で抹茶のラテやスイーツが日常に溶け込むほどの人気を博しています。

しかしこの急成長は、供給側の慢性的な「抹茶不足」という新たな課題を生んでいます。

日本国内だけではとてもまかないきれず、「現地生産体制の整備」が急務とされる今——

この問題の“突破口”を開ける企業こそ、すでに世界各国に店舗網と販売網を持つスターバックスなのかもしれません。

---

スタバが「抹茶の供給網」を握る理由

• 圧倒的な需要予測
  スタバ1社だけで、すでに日本の抹茶産業の多くを支えるほどの使用量。
  メニュー拡張と健康志向の高まりで、抹茶ニーズは今後も増加確実。
• 既存のインフラと資本力
  世界80カ国以上に展開し、物流・商品企画・ブランディングを自社で完結可能。
  農園や加工工場の立ち上げに必要な投資体力がある。
• “ブランドとしての抹茶”を育ててきた実績
  海外の消費者が最初に出会う“抹茶”が、スタバの抹茶ラテであるケースも少なくない。
  抹茶＝オシャレ・健康・安心というイメージ作りに成功。

---

もし、スタバが抹茶農園を始めたら？

スターバックスはすでに「エシカル調達」としてコーヒー豆農園における持続可能な生産支援を行っており、
抹茶でも同様に「グリーン・ファームプロジェクト」が始まる未来はそう遠くないかもしれません。

• アメリカ西海岸やオーストラリアなどの温暖地域で、現地農場と提携 or 自社栽培
• 品質保証のため、京都の老舗茶舗と技術提携
• 「Farm to Cup（農園から一杯へ）」を掲げた新たなサステナブル戦略として打ち出す

こうした構想は、環境配慮と健康志向の両立を図るスタバの企業哲学にも合致していると思いますよ。

---

抹茶業界へのインパクトは？

抹茶を「産業」としてグローバル展開させるには、技術だけでは不十分ではないでしょうか？

必要なのは…　“現地で育て、現地で売る”　持続可能なモデルと、消費者との信頼関係だと私は思います。

スターバックスのような企業がこの枠組みをリードすれば

• 日本茶の信頼性・品質イメージがグローバルで確立
• 「健康的でクールな飲み物」としての抹茶文化が加速

抹茶は、かつてコーヒーやワインが辿ったように、「世界で生産される高級嗜好品」の一角を占める可能性を秘めています。

そのカギは「技術を持った老舗茶舗との協業」です。

スターバックスの支援で日本企業の海外進出の橋渡しが実現したら、世界的に高品質な製品供給体制が爆発的なスピードで構築されます。

供給不足解消により贋作などの出番はなくなり、日本の老舗茶舗の経営体制も盤石なものとなるでしょう。

日本茶葉農家にもプラスの経済波及効果が及ぶものと期待します。

---

おわりに：次の抹茶ブームは「現地生産」から

スターバックスが本気で抹茶の未来を背負うとしたら、それは単なるビジネス展開ではなく、「茶文化」の次なる章の幕開けかもしれません。

日本が生んだ抹茶が、世界のどこでも「現地の農園」で育ち、その土地の人々が「日常の一杯」として楽しむ未来。

そしてその最初の一歩は、目にも優しい「フラペチーノの緑」から始まる「心穏やかな瞬間」なのかもしれません。

今後、スターバックスが抹茶の“供給者”としても存在感を強めていくことで、これまで日本の老舗茶舗だけでは手が届かなかった広大な海外市場に、安定供給という新たな選択肢が生まれます。

もちろん、これにより「日本発の抹茶文化」が薄まる懸念もあるでしょう。

けれど、もしその流れを日本の茶舗や生産者がうまく取り込むことができれば、逆に日本の茶業界の活性化や文化輸出の加速にもつながるはずです。

「世界に愛され定着する文化」へと成長した「抹茶文化」が更なる成長を見せるのか。

その答えを握っているのは、もしかすると——皆さんが手に取る「抹茶フラペチーノ」かもしれません。

その原動力として期待されるスタバですが、本国アメリカでのスタバの客離れが報じられていますね。

👉世界中でスタバ離れ！？スターバックスの業績悪化の原因とは？｜岡筋 耕平（okasuji kohei)のライティングノート

そこでスタバが打つべき次の一手が「抹茶の現地生産」かも？

私はありうると思います。

これからも、抹茶の未来に注目していきましょう 🍵

追記 2025年5月21日　米中市場での苦戦が、スタバの「自社抹茶」構想を現実のものに

アメリカ市場では「高すぎる日常品」として、消費者のスタバ離れが進行中です。
一方、中国市場では地元ブランドが、価格と機動力で急拡大を遂げてスタバを追い上げています。

世界の二大市場で苦戦が続く中、スターバックスは財務体質強化のため抹茶戦略にシフトする必要せいに駆られています。

実はアメリカのみならず中国市場でもライバルである地元ブランド（例：ラッキン社 :ラッキンコーヒー 抹茶)でも抹茶を使ったものが増えており、スタバの抹茶もコスト削減によるコスト優位性が必要不可欠な状態となっております。

日本の茶葉農家の疲弊状態を鑑みて、今後の安定した供給体制を整えるため、スタバが取るであろう戦略は、原材料から育てる“自社生産型・現地化抹茶戦略”であろうと思われます。。

すでに報道では、アメリカ西海岸における抹茶用茶園の立ち上げ構想、そして京都から茶師を呼び寄せた技術監修体制の構築などが話題に上っています。
これにより、「抹茶＝高級輸入品」から「意味ある贅沢・地元で育てる文化クラフト」への再定義が進められようとしています。

---

それは“日本の茶業”にとって、脅威か、チャンスか

スタバが米国や中国で「抹茶の現地化」を本格的に進めれば、日本の老舗茶舗や茶葉農家にとっては二面性を持った現象になるでしょう。

• 安価で現地生産された抹茶が大量流通することで、日本茶ブランドの価値が相対的に下がるリスク
• 一方で、日本の茶師・茶農家が“文化技術の輸出”として、世界市場の価値創出に加わるチャンス

いよいよ、スターバックスの「抹茶世界戦略」は次のステージに入りつつあります。
日本茶業界が、どうこの動きと向き合うのか。
それは、単なる外資との競争ではなく、「日本の茶文化を、世界でどう再定義していくのか」という問いそのものなのかもしれません。