まとめ記事 日本茶業界の「厳しい現状」、そして「将来への挑戦」

まとめ記事 日本茶業界の「厳しい現状」、そして「将来への挑戦」

日本茶業界は今、歴史的な変遷を経て伝統を守りながらも、時代の変化に直面しています。

消費者の嗜好の多様化やコロナ禍の影響、原材料費の高騰といった困難に加え、多くの老舗茶舗や茶葉農家が経営の岐路に立たされています。

しかし、宇治茶をはじめとする茶文化は、日本文化の象徴としての価値を持ち続ける一方で、新たな需要と市場開拓に向けた革新的な取り組みが進められています。

茶文化を支える人々の奮闘、そして未来への挑戦について一緒に学び、一杯のお茶に込められた歴史、癒し、そして希望を再発見してみませんか?

目次

日本茶業界が直面する課題

近年、多くの老舗茶舗や卸・小売店が経営困難に陥っています。

例えば、京都の「今村芳翠園本舗」や「お茶の玉宗園」、茨城県の「木村園」などが破産に追い込まれました。

この背景には以下の要因が挙げられます:

  • 消費者の嗜好変化: 急須で淹れるリーフ茶の消費が減少し、ペットボトル入り緑茶の需要が拡大しています
  • コロナ禍の影響: 冠婚葬祭の贈答品需要が減少し、売上が大幅に落ち込みました。
  • 実店舗の売上不振: 百貨店や専門店の利用が減少し、オンライン販売へのシフトが進む中で対応が遅れた企業が苦境に立たされました。
  • 原材料費の高騰: 茶葉や包装資材の価格上昇が経営を圧迫しました。

宇治茶の歴史的背景

お茶の歴史は、日本文化と深く結びついています。

以下に、宇治茶にフォーカスを当てて主要な時代を振り返ります

  • 鎌倉時代: 宇治地域を中心に茶の栽培が始まりました。
  • 室町時代: 茶道が発展し、宇治茶が高品質茶としての評価を確立。
  • 江戸時代: 徳川将軍家の庇護を受け、煎茶の製法が確立され、広く普及しました。
  • 明治時代以降: 宇治茶は輸出品として重要な役割を担い、日本文化の象徴としての地位を築きました。

現代の動向と日本茶市場の変遷

1990年代: バブル期の拡大

  • バブル景気により、高品質な宇治茶が贈答用として高評価され、市場が活性化しました。

2000年代: 健康志向の追い風

  • 緑茶に含まれるカテキンや抗酸化成分への関心が高まり、緑茶需要が増加しました。

2010年代: 不況による高級茶市場の縮小

  • 景気後退の影響で高級茶の需要が減少。一方で抹茶スイーツや抹茶ラテなど新しい商品群が人気を博しました。

2020年代: コロナ禍と新たな市場環境

  • 冠婚葬祭などの需要減少に加え、実店舗からオンラインへの販路シフトが加速しました。
  • 国内でのお茶の消費が伸び悩み、内訳としても高級茶葉から安価なペットボトルへ消費者の嗜好が向かった結果、茶葉農家の年収は約90万円と日本の平均収入を大きく下回り、就農者が減少しています。
  • 家庭で急須を使って茶を楽しむ需要が再び注目を集めています。

茶文化の将来のため、奮闘する関係者たち

竹田理絵氏の活動

竹田理絵氏は、日本の伝統文化の普及と茶道の魅力を広める活動を積極的に行っている人物です。

以下に彼女の主な活動内容をまとめました。

プロフィール

  • 出身: 東京神楽坂生まれ。祖父が掛け軸職人、母が茶道師範という伝統文化に囲まれた家庭で育つ。
  • 経歴: 青山学院大学卒業後、日本IBMに勤務。その後、日本の伝統文化を広めるために退職し、茶道を中心とした活動を開始。
  • 資格: 茶道裏千家教授、日本紅茶協会認定講師、池坊華道教授など。

主な活動

  1. 茶禅の創設:
    • 茶道を通じて日本の伝統文化の素晴らしさを伝えるため、「茶禅」を設立。
    • 銀座や浅草に体験型の茶室をオープンし、敷居を低くした茶道体験を提供。
  2. 国内外での普及活動:
    • 国内では企業や大使館、ホテルでの講演や茶会を実施。
    • 海外ではニューヨークやパリなどでゲリラ茶会を開催し、日本文化を広く発信。
  3. 教育と人材育成:
    • 茶道や禅を通じて、世界で活躍できる人材の育成を目指す。
    • 生徒数は延べ30,000人を超え、学校や企業での講演も多数。
  4. イベントと出版:
    • 「和美茶美の会」を発足し、茶道や日本文化を楽しむイベントを開催。
    • 著書を通じて茶道の魅力や日本文化の価値を伝える。

竹田氏の活動は、茶道を通じて日本文化の魅力を再発見し、次世代に伝える重要な役割を果たしています。彼女の取り組みは国内外で高く評価されており、茶文化の繁栄に向けた大きな貢献となっています

竹田理絵 著 『お茶を学ぶ人だけが知っている「凛とした人」になる和の教養手帖』

この書籍を通じて和文化の教養と実践を紹介し、多くの支持を集めています。

概要>

  • テーマ: 茶道を中心とした「和」の教養を通じて、心の軸を整え、美しい立ち振る舞いや人間関係の極意を学ぶ。
  • 構成: 8つのジャンル(「人」「心」「茶」「禅」「食」「器」「衣」「住」)に分かれ、それぞれのテーマに基づいた知識や実践方法が紹介されています。
  • 対象読者: 和文化に興味を持つ30~50代の女性や、インバウンド需要の高まりを背景に日本文化を学びたい海外の方々。

特徴>

  • 実用性: 日常生活に取り入れやすい形で茶道や和の教養を解説。
  • 文化的背景: 茶道の歴史や精神性、和食や和菓子、着物の楽しみ方など、日本文化の多岐にわたる要素を網羅。
  • 現代的視点: 現代社会の課題に対応するための「心の軸」の作り方や、和の美意識を活かした生き方を提案。

この本は、竹田氏の長年の茶道経験とグローバルな視点を活かし、日本文化の魅力を再発見するきっかけを提供しています。

老舗茶舗の取り組み

京都の老舗茶舗である福寿園、伊藤久右衛門、一保堂茶舗は、茶文化の未来を守りながら生き残りを図るため、以下のような取り組みを行っています

  • 福寿園: 国内外で茶文化の普及に力を入れています。2025年には「宇治茶のテーマパーク」をオープン予定で、観光客や若い世代に向けた新しい体験型施設を提供する計画です。
  • 伊藤久右衛門: 抹茶スイーツや抹茶ラテなど、現代的な商品を開発し、若い世代や観光客にアピールしています。また、オンラインショップを通じてグローバルに販売を拡大しています。
  • 一保堂茶舗: 海外展開に積極的で、抹茶の輸出を増やし、海外市場での需要に応えています。
  • 森半:抹茶を中心とした商品開発や若者や観光客に向けた新しい体験型施設「TEA SQUARE MORIHAN」を開業し、阪急うめだに「森半 tea square」を開店しました。

これらの取り組みは、伝統を守りつつ新しい市場を開拓し、茶文化の魅力を次世代に伝えるための重要な戦略です。

海外での抹茶人気がもたらした品薄について

先人たちの努力が実った結果、日本の抹茶人気が海外で急速に高まる中、国内では供給不足が深刻な問題となっています。この現象にはいくつかの要因があります。

  1. 世界的な抹茶ブーム 抹茶は健康志向の高まりやSNS映えするビジュアルが注目され、特にアメリカやタイなどで需要が急増しています。抹茶ラテや抹茶スイーツがカフェやレストランの定番メニューとなり、抹茶を使った商品が多くの国で人気を博しています。
  2. 生産の制約 抹茶の生産には特殊な日陰栽培や手間のかかる製造工程が必要で、生産量を急激に増やすことが難しい状況です。また、生産者の高齢化や後継者不足も供給体制に影響を与えています。
  3. 輸出の増加 日本の緑茶輸出額は過去最高を記録しており、その多くが抹茶関連製品です。円安や訪日旅行ブームも相まって、海外からの需要がさらに高まっています。

この品薄の原因として、外国人観光客による抹茶の転売が注目されています。

販売者側は在庫不足を懸念し、一部の茶屋では販売制限を設けるなどの対策を講じています。

これにより、地元の消費者や茶道関係者が必要な抹茶を手に入れにくくなるという問題も生じています。

折角の抹茶人気でも収益改善が期待できないままでは、日本の茶業界や茶葉農家は先細りする一方です。

業界が一体となった対策が必要であると考えられます。

もう一つの博覧会が開催されてます!

抹茶の香りが広がる湯飲みを手に、茶の葉を手摘みする楽しさ、和菓子を一緒に味わう幸福感、桜の木の下でのひとときを想像してください。

2025年、「きょうとまるごとお茶の博覧会」が京都府全域で開催されています。

日本茶文化の中心地として名高い京都で、お茶をテーマにした多彩なイベントが繰り広げられるこの特別な機会。

茶摘みや抹茶アートづくり、茶器の制作まで、誰もがその魅力を体験することができます。

「お茶ってこんなに楽しいの?」と思わず感嘆するような発見が詰まった博覧会。

茶道の奥深さを学びたい人から、ちょっとお茶に触れてみたい人まで幅広く楽しめる内容です。

一歩踏み込んだ日本の文化に触れるこの冒険に、皆さんも参加してみませんか?

清流園で桜を愛でながらのお茶席、中丹エリアでの体験型イベント、そして伝統の茶菓子づくりや茶器づくり…、

参加するたびに新しい感動がきっと待っていますよ。

2025年の京都にお茶の旅を楽しみに、特別な体験を計画してみませんか?

抹茶ブーム、ついに1兆円産業へ

抹茶市場は急速に成長しており、特にアメリカ、ヨーロッパ、中国などの海外市場での需要が増加しています。

世界の抹茶市場は2023年に約32億米ドルに達し、2030年には74億米ドル(約1兆円)に達すると予測されています。

年平均成長率(CAGR)は6.4%という急成長を示しており、抹茶市場は今後も拡大し続けると見込まれています。

現在の好調な販売が単なる「ブーム」にとどまらず、健康志向の高まりや食文化としての定着に支えられている点が重要です。

そのためには世界的な供給体制の構築と、売上を蝕む商標や特許を侵害する贋作や模倣品の排除の両輪が欠かせません。

では抹茶産業の未来への布石を皆さんと一緒に観てまいりましょう!

スターバックスが背負って立つ?抹茶グローバル化の未来

今、日本で――そして世界で、一番抹茶を売っているのは、老舗の茶舗でも、製茶メーカーでもなく、スターバックスです。

抹茶フラペチーノを筆頭に、抹茶メニューは世界各国のスタバで定番商品として根付き、もはや“抹茶=スタバ”と認識される地域すらあるそうです。

しかし、この世界的ヒットの裏には、供給体制の限界という静かな課題が横たわっています。

日本国内の抹茶原料である「碾茶(てんちゃ)」は、いま生産が追いつかず、価格高騰や品質維持の問題に直面中です。

この構造的な問題を前に、スターバックスがいよいよ“抹茶の現地生産”に踏み出すのではないか――そんな予兆が、業界内でささやかれ始めました。

世界のカフェ文化を牽引してきたブランドが、日本の茶文化の継承者にもなりうるのか。

その可能性について皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

世界へ羽ばたく鹿児島茶、今まさに新たなステージへ

全国一位の荒茶生産量、国内最多の有機JAS認証面積、そして数億円規模の「てん茶」加工工場が続々と稼働開始。

鹿児島県は今、世界に向けた抹茶輸出という新たな挑戦の真っ只中にいます。

鹿児島県では単に収穫量が多いペットボトル飲料用の茶葉の収穫量を増やしているわけではありません。

健康志向とともにグローバル市場での存在感を増す「抹茶」、その原料生産地として、鹿児島は国内においても、そして世界の中でも確実に台頭しつつあります。

京都にルーツを持つ老舗ブランドが脈々と紡いできた「抹茶の文化」。

そこに敬意を払いながらも、鹿児島はまた別の形で未来の担い手として台頭しつつあります。

鹿児島茶が、今、世界へ。

新たな時代が始まろうとしているのです。

ふるさと納税で産地を応援しましょう!

茶葉農家は年収90万円と言われており、また酪農家も補助金頼みの生活でどちらも離農・転作する方たちが後を絶たず、このままでは国産茶も国産牛乳も近い将来には富裕層だけが楽しめるものになってしまいそうです。

何か産地のお役に立てることはないかと考えた結果、皆さんにご協力いただきたいことがあります。

それは「ふるさと納税」の活用をお願いすることでした!

ふるさと納税は皆さんがお住まいの自治体だけでなく、その一部を全国の地方自治体に寄附をして、返礼品を受け取ることができるシステムです。

でも利用している世帯数は、たったの891万世帯で22.7%(住民税対象世帯数:3,924万世帯)だけみたいです。

👉 地域の茶業や酪農を応援したい方へ
「ふるさと納税を通じて応援する方法」を、別記事でやさしくまとめています。
[→ 年金受給者でも使えるふるさと納税の話はこちらをご覧ください]

高品質なのに、なぜ売れない?静岡茶の“本当の課題”とは

静岡茶は全国的に知られる高級茶。味も品質も一級品なのに、なぜ“売れない”と言われるのでしょうか?
2025年の初取引では1kgあたり88万円の値がつくほどの希少な茶葉も存在します。
それでも市場で目立たない理由は、実は「伝え方」にあるのかもしれません──。
本記事では静岡茶業界が抱える“本当の課題”に迫ります。

伊藤園が宮崎のJ3のチームのスポンサーになった裏側

世界的に有名となった緑茶ブランド「伊藤園」が、いま九州に本格的な力を注いでいます。

その象徴となる取り組みのひとつが、福岡・鹿児島といった主要都市を差し置いて、宮崎県のJリーグクラブ「テゲバジャーロ宮崎」とトップパートナー契約を結んだことです。

「なぜ宮崎のクラブなのか?」

その疑問の先には、伊藤園の美しい企業姿勢や将来を見据えた地域戦略の核心が見えてきます。

綾鷹のCM戦略の転換を徹底分析

緑茶飲料のトップランナーといえば、伊藤園の「お〜いお茶」。 続いてサントリーの「伊右衛門」も、京都・福寿園監修や茶葉の産地表示などを前面に押し出し、ブランドの“語り”を強化してきました。 その中にあって、「綾鷹」は少し異なる道を歩んできました。

発売当初から産地や監修元を強く語ることなく、「急須で淹れたような濁り」にこだわり、“語らないお茶”としての立ち位置を選んだ綾鷹。

しかし、2025年春。 その綾鷹が、ついに“語り始めた”のです。

終わりに

日本の茶業界は多くの課題に直面していますが、伝統を守りながらも革新を進める取り組みによって、新たな活力を取り戻すことが期待されています。

一杯のお茶がもたらす癒しと文化的な価値を未来に継承するためには、私たち一人ひとりがその魅力を再発見し、応援し続ける姿勢が不可欠です。

ぜひ急須で淹れるお茶を楽しみながら、リフレッシュのひとときを過ごしてみませんか。

それは皆さんの健康のためだけでなく、奮闘する茶業界の明るい未来を支える一助となるはずです。

🔍 なぜこの記事を書くのか?

👉 筆者の想いはこちらから
パンチです

最後までご覧頂き有難うございます。
美味しいお茶、お薦めがあったら
どうぞ教えて下さいね!


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