近年、健康志向の高まりのため抹茶が世界的なブームとなり、
一見すると日本茶業界には大きな追い風が吹いているように見えます。
しかし、その裏側で、多くのお茶屋さんが廃業や倒産に追い込まれるという
「異常事態」が進行していることを本ブログでは都度紹介しております。
帝国データバンクの最新の調査によると、
2025年上半期(1月〜7月)の「製茶業」の倒産・休廃業解散は11件、
すでに前年の10件を上回り、過去最多を更新する見通しです。
一見好調に見える市場の裏で、何が起きているのか、どうぞご覧ください。

最後までご覧くださいね
「抹茶ブーム」が中小業者を倒産に追い込む事実
この一見不可思議な状況の最大の要因は、実は「抹茶ブーム」にあります。
抹茶の人気が世界的に高まったことで、
大手飲料メーカーなどが原料となる茶葉を大量に買い付け始めました。
折からの茶葉農家の離農により生産量が減少するなかで生じた需要急増、
これにより、茶葉の仕入れ価格が急騰したのです。
その結果、中小の製茶業者は、仕入れコストの急激な上昇に直面しました。
加えて、光熱費・人件費などのコストも上昇し、経営を圧迫。
一方で、長年主力商品だったリーフ茶(急須で淹れるお茶)は、
若年層の日本茶離れや、主要な販売先であった仏事・葬儀向け需要の低迷により、
価格を上げることも容易ではありません。
結果として、
「売上は伸びないのにコストだけが上昇する」という厳しい状況に陥り、
資金繰りが悪化し、破綻する会社・団体が増えてしまったのです。
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お茶小売市場の変化と「二極化」の進行
もう一つの大きな要因は、お茶の販売チャネルが大きく変化したことです。
かつてお茶の販売の中心は、百貨店や昔から市街地に店を構える専門の茶舗でした。
しかし、消費者の購買行動は大きく変わり、
「ショッピングモール内のスーパーマーケット」と「インターネット通販(ECサイト)」が
現在の主戦場となっています。
- スーパーマーケット: 安価で手軽なお茶を武器に、消費者の「お茶はスーパーで買うもの」という認識を強めました。
- 通販市場: 有名な茶どころや老舗茶舗が、お茶だけでなく抹茶スイーツなどの商品ラインナップを拡大し、幅広い顧客層を獲得しています。
こうした変化に乗り遅れた業者は、時代の波に取り残されてしまいました。
特に、海外輸出やインバウンド向けの販路を持たない企業は、
国内市場の縮小という逆風を受け、業績悪化に追い込まれているのです。
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まとめ:抹茶ブームのなか、街のお茶屋さんの将来とは?
帝国データバンクのレポートが示すように、
今後もお茶業界では「収益力の二極化」がさらに進むと見られています。
ブームを追い風に変えられた「勝ち組」は
抹茶の原料となる碾茶(てんちゃ)生産にシフトしたり、
通販や海外販路を開拓したりすることで収益を伸ばしています。
一方で変化に対応できなかった「負け組」は
従来の販売方法に固執するあまり、
市場の縮小とコスト上昇という二重苦から抜け出せない状況にあります。
これは有名な老舗であっても避けることができない厳しい現実です。
一度失った顧客や販路を回復させるのは容易ではなく、
残念ながら、この差は今後ますます広がっていくでしょう。
この「異常事態」は、伝統ある産業においても、
時代の変化に対応することの重要性を改めて浮き彫りにしています。
皆さんの街のお茶屋さんも危機に瀕しているかもしれません。
もし宜しかったら足を運んで商品を手に取ってみてください。




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