食品ほか– category –
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ホクレンを通さないと補助金ゼロ?酪農制度の“再設計”という選択肢
「ホクレンに出さないと補助金がもらえない」──そんな話を聞いたことはありませんか?北海道の酪農家が抱える“自由なはずの出荷”と“縛られた制度”の矛盾。年間売上5,000万円でも赤字に苦しみ、廃業へ追い込まれる現実。本記事では、補助金の仕組み、ホクレンとの関係、そして制度再設計という選択肢について、現場の視点から丁寧に読み解きます。 はじめに 最近、SNSやネット番組を中心に「ホクレンは農家を搾取している」「全量出荷を強制してくる」などの声が聞かれるようになりました。中には有名インフルエンサーが「ホクレンが牛乳の価格を操作している」と断言する場面もありました。しかし、現場の実態はどうなのでしょうか? 本記事では、酪農とホクレンの関係について、制度の... -
気候変動で変わる日本のワイン産地:山梨と北海道の現在地
ワインができるのは10年後、皆さんは、どこにブドウの苗を植えますか? -
北海道産肉用牛が日本一へ──鹿児島県を抜いた日
2023年、日本の畜産界において大きな節目となる変化がありました。 これまで63年もの間、肉用牛の出荷額で全国1位の座を守ってきた鹿児島県を、北海道が初めて抜いたという出来事です。 一昔前までは乳牛は多いけれど肉牛のイメージは強くなかった北海道のこの快挙の背景には、独自の生産体制や畜産戦略、そして農業従事者たちの不断の努力がありました。 サクランボもトマトも肉牛も美味しい北海道!最後までどうぞご覧くださいね。 歴史的な首位交代 農林水産省が公表した2023年の生産農業所得統計によると、北海道の肉用牛の産出額は1,224億円(前年比21億円増)となり、鹿児島県の1,208億円(前年比20億円減)をわずかに上回りました。 1960年以降、肉用牛生産額で常にトップを走り... -
「牛なき世界」とは?——私たちの暮らしに起きる3つの異変
「牛なき世界」を想像してみて下さい。代替品のない牛、様々な要因により私たちの今の生活は保てないかも知れません。 -
まとめ記事 畜産業と酪農業の「疲弊しきった現実」と「厳しい未来」
日本の畜産業の苦悩は続きます。明るい未来は訪れるのでしょうか? -
なぜ神明畜産は破綻したのか?拡大戦略に潜む落とし穴
畜産業界において『大規模化』と『効率化』を追求する企業が増える中、リスクを過小評価した結果、経営破綻に追い込まれるケースが増加しています。 神明畜産の事例はその典型であり、拡大戦略が招いた深刻な結果を浮き彫りにしました。 神明畜産は、豚熱の発生により約5万6,000頭の豚を殺処分し、資金繰りの悪化を招きました。 最終的に2022年9月には民事再生法を申請しましたが、その過程には多くのリスクが潜んでいました。 この記事では、神明畜産の倒産の背景やリスク管理の重要性について深掘りし、養豚業だけでなく養鶏業界にも共通する教訓を紹介します。 この記事を読むことで、過剰な集約型生産が引き起こす危険性と、内在するリスク管理の必要性を理解し、皆さんが同様の失... -
453億円の巨額負債 イセ食品の再建はなぜ成功したのか?
「イセ食品は倒産後、どう再建したのか?」「スポンサー企業はどこだったのか?」「なぜSMBCをはじめとする金融機関がこれほど本気で動いたのか?」——この記事では、2022年に会社更生法の適用を申請し破綻したイセ食品が、わずか2年で再建に至った背景を、多くの元銀行員と交流してきた筆者の視点から掘り下げます。 金融の現場で理想と現実に揺れる人々へのメッセージとしても、ぜひ読んでいただきたい内容です。 かつて卵業界の最大手として君臨したイセ食品が経営破綻したのは2022年3月。会社更生法の適用を申請し、負債総額は約453億円(イセ食品:約278億円、関連会社イセ:約175億円)にのぼりました。 多くの人が「終わった企業」と思ったかもしれません。しかしその2年後、破綻... -
負債総額4億円超 仙台 壽三色最中本舗の自己破産 和菓子文化に未来は?
「白松がモナカ」や「萩の月」―仙台の街を歩けば目にするこれらの看板には、仙台が長い歴史の中で築いてきた和菓子文化の豊かさが詰まっていますね。 その一方で、近年は時代の変化や消費者の嗜好の多様化によって、老舗和菓子店が厳しい経営環境に直面するケースも増えています。 先日、地元で愛され続けた「壽三色最中本舗」が2025年4月23日に自己破産を申請したというニュースがありました。 東京商工リサーチによると、2022年3月期時点の負債総額は約4億7500万円ということです。 この出来事は、仙台が誇る和菓子文化を未来へ継承するために何が必要なのか、改めて考えるきっかけとなります。 この記事では、壽三色最中本舗の歴史と経緯、仙台に根付く和菓子文化の背景、そしてこの... -
街の洋菓子店の厳しい現状-不二家の販売戦略から学ぶ生き残りのヒント
近年、日本全国で洋菓子店が次々とその歴史を閉じるというニュースが後を絶ちません。帝国データバンクによると、2024年度には洋菓子店の倒産が過去最多を記録し、その数は「51件」に達しました。その背景には、原材料価格の高騰や消費者の買い控え、さらにはコンビニスイーツとの競争が存在します。 一方で、老舗の洋菓子ブランド「不二家」は積極的な戦略を展開し、この厳しい状況を乗り越えるために努力を重ねています。 今回は、街の洋菓子店が直面している問題点と、不二家の事例から学べる生存のヒントについて考えてみたいと思います。 街の洋菓子店が直面する苦境 原材料価格の高騰 小麦粉や砂糖、バター、鶏卵などの価格が軒並み上昇。特にチョコレートケーキの原価はここ5年... -
愛媛 華月グループの破産と生花関連業界の現状と将来
2025年3月18日、生花販売を手掛ける愛媛県宇和島市の華月グループが、負債総額約4億6000万円で破産手続き開始を決定しました。 「華月」は2007年の設立以来、冠婚葬祭施設やホテル、学校などに販路を築き、ピーク時には年商約7000万円を誇っていました。 また、系列企業として「葉月」が菊栽培を担当し、「千華」が生花の配送業務を担うなど、生産から販売までの一貫した体制を構築していました。 しかし、新型コロナウイルスの影響で冠婚葬祭の規模が縮小し、イベントや行事の自粛による受注の激減が業績に大打撃を与えました。 コロナ収束後も回復は思うように進まず、さらに先行投資の負担が重くのしかかり、最終的に事業継続が困難となりました。 このケースは、生花産業が深いかか...