異業種から農業界へ参入し、革新的な取り組みで業界関係者から注目を集めた有限会社ワールドファーム。
しかし、急速な拡大と予期せぬ外的要因が重なり、20年余りの挑戦の結果、破産に至りました。
本記事では、その挑戦の軌跡と得られた教訓を振り返ります。
はじめに
茨城県に本社を構え、鳥取県、熊本県を主な拠点としていた有限会社ワールドファームが2023年10月に倒産しました。
関係会社の負債額などは以下の通りです。
- 企業概要: カット野菜の生産・加工から販売までを手掛ける農業生産法人。
- 倒産理由: コロナ禍による外食産業の需要減少と債務超過。
- 状況: 2023年10月10日、破産手続き開始決定。
- 負債総額: 約34億9,000万円(3社合計)。
- 影響: ワールドファーム、ONLY JAPAN、つくば低温サービスの再建見込みは現時点で立たず。
同社は農業の未来を切り拓くべく異業種から参入しましたが、その壮大な事業計画は、新型コロナウイルスという予期せぬ外的要因により農業を取り巻く厳しい現実に直面しました。
異業種からの挑戦者、上野裕志氏
ワールドファームの創業者である上野裕志氏は、1964年生まれ、元々テニスショップの経営者でした。
2000年、36歳にしてに同社を設立し、茨城県つくば市を拠点に加工事業を統合した大規模な野菜生産を展開しました。
農業の専門知識を持たず、知人の依頼をきっかけに農業界へ足を踏み入れました。
最初は「農業なんて簡単」と楽観的だったものの、初年度のキャベツ栽培で7割が廃棄されるなど、厳しい現実に直面したそうですが、それが彼の挑戦心を燃え立たせるきっかけとなり、6次産業化を通じて新たな農業の可能性を追求しました。
全国に農場や冷凍加工施設を設置し、「従業員全員の正社員として雇用」を実施。
さらに異業種である中電工と合弁で販売会社を立ち上げたり、三井不動産や自治体との連携による革新を追求しました。
「アグリビジネスユートピア構想」に基づいた地域活性化や循環型社会の形成といった理念は高く評価されました。
ピーク時の2019年6月期には年間売上16億7400万円、そして利益率は驚異的な40%だったとのことです。
更に同年には農林水産大臣賞を受賞するなど、多くの注目を集めて成功を収めたかに見えました。
「無謀さ」が招いた終焉
ワールドファームは農場を全国100か所以上に広げ、3つの加工場を運営しながら、正社員雇用を維持するという壮大な目標を掲げました。
しかし当然のことながら、設備投資や人件費などの固定費が膨れ上がり、経営の負担が増大。
その中で新型コロナウイルスの影響を受け、外食産業・学校の閉鎖により業務用カット加工野菜の需要が激減した結果、2023年に破産へと追い込まれました。
このニュースにワールドファームをお手本に事業運営していた若手農家は衝撃を受けたそうです。
革新的な取り組みを行っていた企業の凋落という結果は、2024年に倒産した「スプレッド」と非常に似ていますね。
まとめ 教訓と未来への展望
有限会社ワールドファームの挑戦は、農業界に新しい視点と可能性をもたらした点で大きな意義があったと思います。
異業種から参入した上野裕志氏の野心的なビジョンと果敢な挑戦は、革新の道を切り拓く象徴でもありました。
しかし、大規模な事業展開と固定費の増大、そしてコロナ禍という予期せぬ外的要因が重なった結果、厳しい現実に直面する結果となりました。
この事例は、農業における専門性や経験、持続可能な経営モデルの重要性を改めて示しています。
挑戦の価値とリスクの間で揺れ動いたワールドファームの物語は、未来の農業やビジネスモデルを考える際の重要な教訓となることでしょう。
失敗を単なる終わりとして捉えるのではなく、その中に潜む成功へのヒントを探るきっかけにしていきたいものです。
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最後までご覧頂き有難うございました。
少し前のニュースでしたが、皆さんに、
特に新規就農を考える方に知っておいて欲しくって
記事にしてみました。
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“In agriculture, ambition must be balanced with sustainability.
The story of World Farm reminds us that growth without grounding can lead to downfall.”
「農業において、野心は持続可能性とバランスを取る必要があります。
ワールドファームの物語は、基盤のない成長が破綻を招くことを私たちに教えてくれます。」
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